でぃぶろぐ

生物系の博士就活・研究生活・英語勉強法について

企業での研究生活

こんばんは、でぃです。
去年の今頃は、D論の本申請が終わり新生活の準備を始めようかというところです。
この1年あっという間だったと思うと同時に、長〜い1年でした。

 

さて、私は入社前「やっぱり会社って会議とか多いのかな」「実験時間足りるのかな

と色々想像していました。内情を聞く機会がなかったんですね。

 

というわけで、今日は企業での研究生活についてお話します。

会社によって違うとは思いますが、少しでもリアルを知っていただければと思います。

(基盤研究所の例です)

 

【目次】

 

1. 企業での研究生活

1.1 1日のスケジュール

 まずは、ある日の私の1日を紹介します。

 

8:00

出社。メールを確認し連絡事項を確認する。

業界の最新情報をチェック。

 

9:00

マウスの行動測定を始めてから、ヒト試験の被験者に参加。

 

10:00

居室に戻ってきたら、午後のサンプリングに備えて準備。

 

11:30

1時間ランチ。社食を同期と食べています。

同じラボへ配属された同期がいなかったので、貴重なおしゃべりタイム。

 

12:30

マウス室でサンプリング開始。今日は8匹のデータ取り&サンプリング。

先輩と2人がかりで作業を進める。

大学の時よりもマウス室が清潔なので長時間の作業が可能!

 

17:00

マウス室より帰還。

来月の発表資料少し作っておこう。

 

18:00

帰宅!本日もお疲れ様でした。

 

1.2 働く時間について

働く時間ですが、弊社の場合、8:30-17:00が就業時間で前後は残業扱いになります。

大学では10:00に来て、大体21:00まで、忙しい時には日付が変わるまでやっていましたが、

今は8:00に来て18:00頃に帰っているので、随分と前倒し生活になりました。

 

そして、弊社の良いところは「スーパーフレックス制度」があることです。

 

フレックス制度とはコアタイムが決まっており、その時間に会社にいさえすればOK、というもの。

例えば10:00-14:00がコアタイムの場合、

6:00に会社に来て14:00に帰ってもいいし、

10:00に会社に来て19:00まで仕事してもいいわけです。

 

スーパーフレックス制度にはコアタイムがありません。

弊社の場合、4時間会社にいれば会社に来たとみなされるので、

たとえば7:00-11:00で働いて午後から遊びにいくもよし、

連休後に14:00-18:00に会社にくるもよし、といった感じです。

 

1ヶ月の最低労働時間が決まっているので、その中で調整可能となります。

研究職の場合、在宅勤務ができず、勤務場所は固定されてしまいますが、

時間が固定されないのはとても嬉しいことです。

 

【2020/03/26追記】

弊社ではコロナ対策で研究員も在宅勤務となりました。

研究なのに在宅勤務って何するんだろうと思った方は読んでみてください。

 

 

 

1.3 会議の頻度

思っていたより少ないです。

 

グループ会議、室内会議、研究所全体の会議がそれぞれ月1でありますが、

どれも数時間で終わります

 

大学の時も論文紹介が月1、研究発表会が週1でありましたが、

終了時間が決まっていなくて(しかも土曜開催で)、

いつまでも続いて辛かったです・・・。

 

2. 企業での研究に関する質問

会社でどんなことをしているのか、

良かったことや悪かったことは下の記事に書いていますので、

この記事では細々した疑問に答えていきます。

 

www.phddei.info

 

2.1 調べものってできるの?論文は購読できる?

正直これが一番気になっていました

 

できます!ばんざーい!

弊社では提携しているジャーナルはもちろんのこと、契約を結んでいなくても、

購入希望を出せば大体次の日にはメールで送られてくるので、

全ての論文を読むことができます。

 

調べる時間ってあまりもらえないのかなと思っていましたが、

そこは大学と同じく、調べることに時間を使って良し◎です。

 

2.2 試薬関連

会社に来てすぐ、驚いたことです。

自分で試薬を作らない!チップを詰めない!

衝撃でしたが、手間がかかることはお金で解決して、

他のことに時間を使ってもらうという考えだそうです。

 

2.3 派遣さんの存在

企業に入ったらWBなどはやってもらえるのかなと期待していたのですが、

私の部屋ではそういう文化がなく、みんな自分でやっています。

派遣さんにお願いしている部署もあるようです。

 

2.4 分業制

上流から下流まで複数の部署でやると思っていましたが、

弊社の場合は1人1テーマで研究を進めています。

テーマが開発に向かうにつれて、様々な部署と協働でやっていきますが、

生みの親は常に研究・開発に関わることができるようです。

 

 

少しでも会社のことがわかってもらえたら嬉しいです。

気になることがあればいつでもご質問ください。

 

質問箱📫:https://peing.net/ja/4dei7

研究の楽しさがわからない!という人へ

こんばんは。でぃです。

 

来年M1になる知り合いが、

研究が楽しいかわからないんだよね~」とのこと。

質問箱でも届いた疑問です。

 

今日の記事は迷える研究者に向けて、

彼女との会話をヒントに、研究に対する引っ掛かり(であろう)ポイントを上げてみました。

少しでも共感する項目を読んでみてください。

 

 【目次】

 

1. 研究の重要性がわからない

Q. 先生たちは盛り上がっているけれど、それって重要なの?

 

A. 身近な先輩に聞いてみよう!

 

明らかにできたらこんなにおもしろい!というのは、

前提知識がないとわからないことがあります。

 

周りの先輩に話を聞いてみましょう。

もちろん先生に直接聞けるなら、それが一番良いです。

 

※人によって重要性は違う。

ここで注意すべきは、その重要性は納得できても、

理解はできないことがあるということ。

 

例えば、先生にとっては著名な論文雑誌に載ることが嬉しいかもしれないけれど、

自分にとっては違うかもしれない。

 

企業の研究でも、

創薬で難治性の病気に貢献できることに研究の価値を置く人もいるし、

世に物を送り出して、みんなに使ってもらうことに価値を置く人もいます。

 

人によってどういう研究に価値があると思うか、おもしろいと思うかは違います。

研究にとどまらず、様々なことのモチベーションに繋がると思うので、

是非、自分の思う価値やおもしろさについて、時間を使って考えてみてください。

 

2. 仮説を絞ることへの不安がある

Q. 仮説を1つに絞って良いの?他の可能性もあるのにもやもやする・・・。

 

A. 一旦その仮説で考えてみましょう。

仮説をいくつも考えて証明しようとすると、時間も手間もかかってしまいます。

とりあえず1つに絞った仮定を証明できるか実験し、

違っていれば、別の仮説の証明に挑戦するのが良いと、私は思います。

 

また、仮説が立証されたと仮定して、次の仮説を立ててみることもおすすめです。

より大きな目的に向かって研究を進めていると実感できて、自分の思考が開けますし、

将来の話を膨らませることができて、伝えるときも研究がより魅力的に聞こえると思います。

 

 

※もしも質疑応答等で「(別の仮説)については考えないの?」と聞かれたら、

 

「今後の検討課題とさせていただきます。」

「今後〇〇も含め、他の可能性についても検討する予定です。」

「参考にさせていただきます。ありがとうございます!」

 

(そもそも責められているわけではないのですが、)

いくらでも言いようはあるので、心配しなくて大丈夫です。

 

3. 正解がわからない

Q. 結局何が正しいのかわからない。答え合わせができない。

 

A. そうですね、何が本当に正しいかは結局のところわかりません。

個人的には反証されなければ全て正解なのだろうと思います。

〇〇ではなかった、というのも立派な結論ですしね。

 

生物はとても複雑で、

同じ受容体に作用するリガンドでも、濃度によって作動薬になったり拮抗薬になったりしますし、

少しの条件の違いで異なる反応が出ることもあります。

事実を少しずつ積み重ねて「実態」が見えるところが生物研究の醍醐味

だと私は思っています。

 

生物研究に関わらず、

自分の知識と経験、センスで未解決の問題を明らかにする作業が研究だと思います。

楽しめるようになるには時間がかかりますが、

楽しめるようになってほしいと思います。

 

 

もやっとする気持ちを解消できると嬉しいです。

質問箱やコメントで、ご意見お待ちしています。

 

質問箱📫:https://peing.net/ja/4dei7

企業での私の研究実情:実際会社入ってどう?

 こんばんは、でぃです☺︎

 

最近、組織編制等で自分の進路について考える機会がありました。

大学だと教授が変わることはありますが、

組織自体が大きく動くことはないので新鮮な気持ちです。

その辺りについてもまた記事にしたいと思います。

 

さて今日は、

「実際会社入ってどう?」

という会社の人、共同研究先の方、大学の後輩、家族や友達に

この1年でよく聞かれた質問にお答えします。

 

【目次】 

 

 

1. テーマについて

まず、大学の時とは全く違うテーマに配属になりました。

いつか人の健康に携わりたいと思っていた私には、

アウトプットが人、という企業での研究はとても面白いです。

 

今は2つのテーマを持っていて、

1つは先輩が着目する分子の新しい作用機序の解明

もう1つはデータを渡され、私の裁量で着目する分子を決めて、

好きに進めて良いという自由にやっていい研究です。

 

テーマ以外でもやりたいことがあれば自由に提案できますし、

ダメな場合でも何らかの解決案が出るまでディスカッションしてくれます。

アングラの研究も可能で、

先輩の場合はこっそりやっていた研究が、現在重点テーマになっています。

想像以上に自由度が高く、大学にいた頃よりも自分で研究を進めている感が強いです。

 

先週の記事にも書きましたが、私は会社に入ってから、

自分がやりたいと思う研究をやらせてもらえています。

自分が目指す方向と会社が目指す方向の近さは、

やりたいことをやるために、会社選びに重要なポイントだと改めて感じています。

 

www.phddei.info

 

 

2. 企業に入ってよかったこと

もちろんお金を十分もらえるし、

土日・祝日は完全休暇できちんと休めるということもありますが、

 

常々感じるのは、

一緒に働く人ってやっぱり大事だったな

ということです。

 

 

以前の記事で、大学ではこれからも一緒に働きたいと思える人に出会えなかったということを書きましたが、

私は研究室で結構メンタルをやられてしまっていました。

 

www.phddei.info

  

会社に入って、周りの気持ちを考えながら話す人に囲まれて気づいたことは、

一緒に働く人は自分のパフォーマンスを大きく変えるということ。

 

①質問/相談しやすい。

無駄に悩むことがない。

本当に考えなければいけない必要なところに時間をかけることができます。

 

②発言しやすい。

どんな意見も”聴いて”もらえるので自分からアイデアを発信することができます。

大学でも”聞いて”もらえてはいましたが、

「良いアイデア」を「タイミングよく言うこと」が条件だったので、

発言頻度は低かったと思います。

 

③アイデアを思いつきやすい。

博士課程に行けば自分で考えることは当たり前だと思われるし、

そうでないといけないのでしょうが、

大学にいた頃は自分で自由に考えることに

無意識に蓋をしてしまっていたことに気づきました。

相談・発言しやすい環境は思考を自由にすることを知りました。

 

 

3. 会社に入って悪かったこと

書類仕事がままあることと、実験時間が限られてしまうことです。

特に動物実験の申請書や試薬の発注、ライセンス関係は

面倒くさいと感じることもありますが、

一度慣れてしまえばあまり負担になることはありません。

 

実験時間については、基本的には決まった時間帯で実験するよう言われています。

でも土日でも研究室は空いているので、研究室に来ている人もいるようです。

 

私の場合は大学と違ってしっかり休みがとれるおかげか、

平日のパフォーマンスがあがりましたし、今のところは平日の残業で十分です。

 

4. 結論

私の場合、素晴らしい同僚や上司に恵まれて、

結果的に最高の研究生活を送っています。

アカデミアで研究していた時もそうでしたが、

自分が好きな研究で仕事ができることはとても幸せです。

 

企業での研究について質問のある方は、

コメント欄や質問箱からお気軽にどうぞ☺︎

 

質問箱📫:https://peing.net/ja/4dei7