でぃぶろぐ

生物系の博士就活・研究生活・英語勉強法について

研究の楽しさがわからない!という人へ

こんばんは。でぃです。

 

来年M1になる知り合いが、

研究が楽しいかわからないんだよね~」とのこと。

質問箱でも届いた疑問です。

 

今日の記事は迷える研究者に向けて、

彼女との会話をヒントに、研究に対する引っ掛かり(であろう)ポイントを上げてみました。

少しでも共感する項目を読んでみてください。

 

 【目次】

 

1. 研究の重要性がわからない

Q. 先生たちは盛り上がっているけれど、それって重要なの?

 

A. 身近な先輩に聞いてみよう!

 

明らかにできたらこんなにおもしろい!というのは、

前提知識がないとわからないことがあります。

 

周りの先輩に話を聞いてみましょう。

もちろん先生に直接聞けるなら、それが一番良いです。

 

※人によって重要性は違う。

ここで注意すべきは、その重要性は納得できても、

理解はできないことがあるということ。

 

例えば、先生にとっては著名な論文雑誌に載ることが嬉しいかもしれないけれど、

自分にとっては違うかもしれない。

 

企業の研究でも、

創薬で難治性の病気に貢献できることに研究の価値を置く人もいるし、

世に物を送り出して、みんなに使ってもらうことに価値を置く人もいます。

 

人によってどういう研究に価値があると思うか、おもしろいと思うかは違います。

研究にとどまらず、様々なことのモチベーションに繋がると思うので、

是非、自分の思う価値やおもしろさについて、時間を使って考えてみてください。

 

2. 仮説を絞ることへの不安がある

Q. 仮説を1つに絞って良いの?他の可能性もあるのにもやもやする・・・。

 

A. 一旦その仮説で考えてみましょう。

仮説をいくつも考えて証明しようとすると、時間も手間もかかってしまいます。

とりあえず1つに絞った仮定を証明できるか実験し、

違っていれば、別の仮説の証明に挑戦するのが良いと、私は思います。

 

また、仮説が立証されたと仮定して、次の仮説を立ててみることもおすすめです。

より大きな目的に向かって研究を進めていると実感できて、自分の思考が開けますし、

将来の話を膨らませることができて、伝えるときも研究がより魅力的に聞こえると思います。

 

 

※もしも質疑応答等で「(別の仮説)については考えないの?」と聞かれたら、

 

「今後の検討課題とさせていただきます。」

「今後〇〇も含め、他の可能性についても検討する予定です。」

「参考にさせていただきます。ありがとうございます!」

 

(そもそも責められているわけではないのですが、)

いくらでも言いようはあるので、心配しなくて大丈夫です。

 

3. 正解がわからない

Q. 結局何が正しいのかわからない。答え合わせができない。

 

A. そうですね、何が本当に正しいかは結局のところわかりません。

個人的には反証されなければ全て正解なのだろうと思います。

〇〇ではなかった、というのも立派な結論ですしね。

 

生物はとても複雑で、

同じ受容体に作用するリガンドでも、濃度によって作動薬になったり拮抗薬になったりしますし、

少しの条件の違いで異なる反応が出ることもあります。

事実を少しずつ積み重ねて「実態」が見えるところが生物研究の醍醐味

だと私は思っています。

 

生物研究に関わらず、

自分の知識と経験、センスで未解決の問題を明らかにする作業が研究だと思います。

楽しめるようになるには時間がかかりますが、

楽しめるようになってほしいと思います。

 

 

もやっとする気持ちを解消できると嬉しいです。

質問箱やコメントで、ご意見お待ちしています。

 

質問箱📫:https://peing.net/ja/4dei7

企業での私の研究実情:実際会社入ってどう?

 こんばんは、でぃです☺︎

 

最近、組織編制等で自分の進路について考える機会がありました。

大学だと教授が変わることはありますが、

組織自体が大きく動くことはないので新鮮な気持ちです。

その辺りについてもまた記事にしたいと思います。

 

さて今日は、

「実際会社入ってどう?」

という会社の人、共同研究先の方、大学の後輩、家族や友達に

この1年でよく聞かれた質問にお答えします。

 

【目次】 

 

 

1. テーマについて

まず、大学の時とは全く違うテーマに配属になりました。

いつか人の健康に携わりたいと思っていた私には、

アウトプットが人、という企業での研究はとても面白いです。

 

今は2つのテーマを持っていて、

1つは先輩が着目する分子の新しい作用機序の解明

もう1つはデータを渡され、私の裁量で着目する分子を決めて、

好きに進めて良いという自由にやっていい研究です。

 

テーマ以外でもやりたいことがあれば自由に提案できますし、

ダメな場合でも何らかの解決案が出るまでディスカッションしてくれます。

アングラの研究も可能で、

先輩の場合はこっそりやっていた研究が、現在重点テーマになっています。

想像以上に自由度が高く、大学にいた頃よりも自分で研究を進めている感が強いです。

 

先週の記事にも書きましたが、私は会社に入ってから、

自分がやりたいと思う研究をやらせてもらえています。

自分が目指す方向と会社が目指す方向の近さは、

やりたいことをやるために、会社選びに重要なポイントだと改めて感じています。

 

www.phddei.info

 

 

2. 企業に入ってよかったこと

もちろんお金を十分もらえるし、

土日・祝日は完全休暇できちんと休めるということもありますが、

 

常々感じるのは、

一緒に働く人ってやっぱり大事だったな

ということです。

 

 

以前の記事で、大学ではこれからも一緒に働きたいと思える人に出会えなかったということを書きましたが、

私は研究室で結構メンタルをやられてしまっていました。

 

www.phddei.info

  

会社に入って、周りの気持ちを考えながら話す人に囲まれて気づいたことは、

一緒に働く人は自分のパフォーマンスを大きく変えるということ。

 

①質問/相談しやすい。

無駄に悩むことがない。

本当に考えなければいけない必要なところに時間をかけることができます。

 

②発言しやすい。

どんな意見も”聴いて”もらえるので自分からアイデアを発信することができます。

大学でも”聞いて”もらえてはいましたが、

「良いアイデア」を「タイミングよく言うこと」が条件だったので、

発言頻度は低かったと思います。

 

③アイデアを思いつきやすい。

博士課程に行けば自分で考えることは当たり前だと思われるし、

そうでないといけないのでしょうが、

大学にいた頃は自分で自由に考えることに

無意識に蓋をしてしまっていたことに気づきました。

相談・発言しやすい環境は思考を自由にすることを知りました。

 

 

3. 会社に入って悪かったこと

書類仕事がままあることと、実験時間が限られてしまうことです。

特に動物実験の申請書や試薬の発注、ライセンス関係は

面倒くさいと感じることもありますが、

一度慣れてしまえばあまり負担になることはありません。

 

実験時間については、基本的には決まった時間帯で実験するよう言われています。

でも土日でも研究室は空いているので、研究室に来ている人もいるようです。

 

私の場合は大学と違ってしっかり休みがとれるおかげか、

平日のパフォーマンスがあがりましたし、今のところは平日の残業で十分です。

 

4. 結論

私の場合、素晴らしい同僚や上司に恵まれて、

結果的に最高の研究生活を送っています。

アカデミアで研究していた時もそうでしたが、

自分が好きな研究で仕事ができることはとても幸せです。

 

企業での研究について質問のある方は、

コメント欄や質問箱からお気軽にどうぞ☺︎

 

質問箱📫:https://peing.net/ja/4dei7

企業でやりたい研究ってできるの?

お久しぶりです! でぃです。

 

2年前の博士就活中、企業で働くことにあまり良い印象がなかった私は、

就活しながらも、これでいいのかなあと思っていました。

今日は過去の私に答えるつもりで書いてみようと思います。

 

 

当時の私が企業で働くことに対して持っていたイメージは、

組織の中で歯車として働く駒」です。

やりたくないことでも我慢してやらなきゃいけないんじゃないのって。

 

 

でも、『やりたい研究』ってなんでしょうか。

みなさんは答えを持っていますか?

 

【目次】

 

 

(ここでは基盤研究についてお話します)

1. そもそも企業研究=利益追求なのか

 

企業の研究は利益追求がベースというのは良く聞く話です。

開発研究だとなんとなくイメージできますが、基盤研究でさえも、

ある程度結果の予想がつくものをやっているのかなあとか。

私はイメージだけで利益追求型の研究ってつまらなさそう、と思っていました。

 

でも実際会社に入ってみて思うのは、企業の基盤研究スタンスは、

これまでにない商品に繋がる(かもしれない)研究、ということ。

それって研究費の申請書で、社会的インパクトに必ずといっていいほど書いていた、

(かもしれない)=「新薬につながる」「食糧増産につながる」とあまり変わらないと思いませんか

 

確かに、本当に実現可能なのか、というところは大学で研究していた時よりも

深く聞かれますし、根拠を求められます。

しかし結局大学でも企業でも、可能性を提示してあげないと、

上は研究を進めるかどうかの判断ができず、お金を投資できないわけです。

 

そういうわけで、企業研究は利益追求ベースというのは間違いではないですが、

大きな抵抗を感じる必要はないのかなと思います。

 

2. やりたいことが決まっている人へ

自分で明らかにしたいことがある人へ

もしも明らかにしたいことが明確にあるのなら。

まずはアカデミアの研究分野で研究拠点を探すことをお勧めします

 

企業はそれを明らかにするために研究しているのではなく、

新たな製品につながるか、開発する意味があるかを目的に研究しているからです。

そうでない=お金にならないと判断されれば、テーマごと廃止になることは往々にしてあります。

 

ポスドクを採用している企業もありますし、自分の中で期限を設ける必要はあるとは思いますが、

焦って今企業を選ぶこともないんじゃないかなと、個人的には思います。

 

 

3. 研究ならある程度何でも楽しめる人へ

私はこのタイプでした。

好きな研究分野はあるけれど、基本的にどんな研究でも楽しめる。

研究分野を深めたいと思って院を変えましたし、それは今でも携わっていたい分野です。

ただ、自分で明らかにしたいことを答えろと言われると難しかったと思います。

 

入社して、私はこれまでとは全く違うテーマに配属になりましたが、

新しい分野で最先端の研究ができることは嬉しく、面白いです。

やりたい研究ができるか、という答えにもつながりますが、

 

新しい知識を増やし、会社の方向性を合わせて考えることで、

自分が取り組みたい課題・やりたい研究が見えてきますし、実行可能です

 

 

結論

会社の方針や方向性とある程度合致していれば、

企業でもやりたい研究、できると私は思います。

 

そのためにも、会社との相性は大事です。

自分は何がしたいのか、何のために研究をしているのか、

自己分析を必ずしましょう。

 

大事にするものや目指す方向が同じであれば、

自分と会社の意見が一致しやすく、研究しやすくなります。

思っていたよりもずっと、企業での研究は楽しいですよ。

 

私個人の例を交えた企業での研究についてはこちら👇

 

 

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